「樵の唄」代表詩をUPしました!

黙礼

立ち去ってゆく

そのうしろ姿を

なににたとえよう

別れを言うのは辛かったから

そっと

黙礼した

この世界では

なにもかもが朽ちはて

褪せてゆくようだが

自分だけの色あいを

染めあげることは可能だ

世界は痴呆のほうへ

際限もなく

歩いてゆくように見える

見るべきものを

見なかった季節があるだろう    

立ちどまることを

しなかった若さがあるだろう

瞼のうらで燃えるもの

朝焼けに

熱いその身が盛りあがってきたら

窓辺に立って

ふるえるものに

じっと耐える

そして

黙礼する

貝のような青春が

荒波のような大気に

さらに深くひろがる世界の荒廃に

ひそかに旅立っていく

そのうしろ姿に

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