最新詩集「ひらがなの国」の代表詩をUPしました!
ちいさなゆうき ダニーボーイを唄うまえに止めなければならない血と硝煙の臭いが きみの手に染みつくのを 敵のいのちほど軽いものはない敵が死ぬきみが敵を殺すそれは誰かの大切なひと殺しあうのがせんそう生き残ったきみは 何を思う…
ちいさなゆうき ダニーボーイを唄うまえに止めなければならない血と硝煙の臭いが きみの手に染みつくのを 敵のいのちほど軽いものはない敵が死ぬきみが敵を殺すそれは誰かの大切なひと殺しあうのがせんそう生き残ったきみは 何を思う…
ふゆのゆき いちめんの雪のなかで ぼくらは小さな足跡だった 吸込まれた音 灰色の空の下 柊は立つ サクッサクッ シュッシュッとぼくらは楽器だった 音のない世界に 歩くことで音を刻む ま…
樹つ 非望と希望の 抵抗の葉をふるわせながら 樹て 大いなる木よ 地のうえを 虚言がとおりすぎる 埋葬せよ いつわりの言葉を 木洩れ日映す太き幹の鼓をうちならせ 非力な枝葉をうちならせ 風をよびこめ きみの咆哮を空へ 帆…
父の逝く夜に 木枯らしが窓辺に 越冬の使者を打ちつける 冬を迎える 冬を迎える 縮こまって シワシワになって 自然は たからかな春の躍動に身構えているのだが 父の冬は 愛しさが胸奥にへたりつき 押して…
春の空 ぼくは出会った きみときみの愛する詩に ぼくは出会った 澄んだ眼を持つきみに ぼくは触れた 春の風を耳で 春の光をきみの髪で 初めてきみの唇に触れて春は沸騰し 春の光の渦のなかで ぼくの体は身震いする きみは月…
もみじの布団 くるくる風に吹かれて 透きとおった秋の日だまりに積もった ちいさな ちいさな木々たちの手のひら さくさく揉みあって踊り やがて無数のバクテリアの顎で砕かれ 土に帰っていく 風の伝令 空に放たれた冬将軍のつば…
夜の天使たち 10時をすぎるバスで ランドセルやカバンを持った あどけない天使たちの前に立つと とうに消えたはずの翼が 遠い原っぱの風景を運んでくる 野っぱらに沸きかえるてんとうむしの声 蝶の羽ばたき 松ぼっくりをころが…
黙礼 立ち去ってゆく そのうしろ姿を なににたとえよう 別れを言うのは辛かったから そっと 黙礼した この世界では なにもかもが朽ちはて 褪せてゆくようだが 自分だけの色あいを 染めあげることは可能だ 世界は痴呆のほうへ…
コロナの猛威により世界中で尊いいのちが奪われている今、不安と無力感が心身にまとわりつく。この閉塞感からの脱出を共有したいと思い、以前から書き止めてきた詩と批評の読者への呼びかけをさらに進められるようリニューアルしました。…