もみじの布団
くるくる風に吹かれて
透きとおった秋の日だまりに積もった
ちいさな ちいさな木々たちの手のひら
さくさく揉みあって踊り
やがて無数のバクテリアの顎で砕かれ
土に帰っていく 風の伝令
空に放たれた冬将軍のつばさの斥候たち
カサッカサッ
紅葉をあつめ
子供らをうずめる
どう?
暖かいだろう
秋の木洩れ日が蒸した雑木林の羽毛は
見上げれば
枝えだのあわいに蒼空は撓い
秋はかがやく大きな鍬を
落葉の塊にふりおろしている
さわってごらん
黄葉の布団
ぶらぶら枝にとりのこされた
愛しい蓑虫を
これからさき
きびしい北風が
きみたちの頬に吹きつけて
大空が緑いろの焙烙を磨きはじめるとき
あけてごらん
きみたちの春の朝の窓を